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2007年2月15日 (木)

水を注すつもりは無いのですが...

■いよいよ東京マラソンが近づいてきました。
「空前絶後」の規模、ということで新聞報道も含めて注目が集まってきたようです。

■もともと首都東京での市民マラソンに反対していた都知事がオリンピック誘致etcの諸般事情により豹変して突然に実施されることになった大会だけに準備不足は否めない事実だと思います。関係者の方々は全力を尽くしていらっしゃることだと思います。しかし、海外の都市マラソンや青梅マラソンなどが少しずつ参加者を増やしながらその大会ならではの様々なノウハウを積み上げて数万人の大会を開催しているのに対して、ごく限られたエリートランナーのための東京国際&東京国際女子の経験しかない東京が一気に3万人規模の日本最大マラソン大会を開いてしまおうというのですから、トラブルなしに終わる訳がありません。

決してこの大会に水を注すつもりはありません。それどころか、なんとか無事に成功裏に終わって欲しい、そうでなければ警察庁etcの「それ見たことか」という大合唱で二度と東京の街をランナーに開放することは不可能になってしまう、それは絶対に避けなければいけないことです。

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■そこで思い出すのが、2003年東京国際女子マラソンの併設市民マラソンです。3千人の市民ランナー(といってもフル3時間15分以内の記録保持者というそれなりのランナー限定)が東京を走りました。それ以前には、女子のトップランナーを車優先でストップさせてしまうという冗談をやってのけた市民ハーフマラソンは実施されたことはありますが(私も参加していて2回止められました(^-^; )、これだけの大規模(といっても今回のたった1/10!)のフルマラソンは初めてで画期的でした。

しかし、当日は観測史上に残るぐらいの高い気温のレースで高橋尚子選手が失速したのは皆さんもご記憶のことと思います。私も彼女の後ろ追いかけながら、暑さと乾きと闘っていました。そして初めての関門ストップ。苦い思い出です。

■給水の不手際(私が初めて給水できたのは25Km地点!)や収容バスの手配ミスなど言いたいことは山ほどありますが、あれだけの異常気象は主催者もランナーも想定外であり、それは誰の責任でもありません。本当に仕方ないことです。

しかし、水の無くなったある給水ポイントでは「テーブルがあるからランナーが水よこせって言うんだから、さっさとテーブルを片付けろ」と言ってボランティアに給水ポイントの撤収を指示していたブレザー姿の役員もいたという考えられない事実もあります(もちろん、関門閉鎖後ではありません。関門時間に10分近く余裕を持って走っていた私が目撃した光景です)。

その一方で、水を求めて殺気立つランナーに対して懸命に汗びっしょりになってわずかばかりの水を集めて「ごめんね、ごめんなさいね」といって注ぐ中年の女性ボランティアの姿を思い出すと感謝の言葉しかありません。

■そして、関門に止められ、ゴール閉鎖後に失意のうちにバスで国立競技場に戻ってきた多くのランナーを待ち受けていたのは、盛大な拍手と「おめでとうございます!」という荷物引き換え場所のボランティアの方々の声...。多少遅くともゴールまでは走りきれる力を残したランナーが途中で止められた無念さを抱きながら、100mほどの「おめでとうございます!」の大合唱のトンネルを歩くミジメさはご理解いただけるでしょうか...

もしマニュアルどおりにこのような拍手と声掛けが行われていたとすればひどい笑い話ですし、自然発生的に起こったものがそのまま何の疑いもなく続けられていたとすればリーダーが状況を判断して、”静かに「お疲れ様でした」”と修正することができなかったのは残念なことだと思います。ボランティアの皆さんは純粋に良心から完走したランナーをたたえる気持ちで拍手してくれているだけに余計淋しかった記憶が強く刻まれています。

■私が言いたい、というかボランティアとして関わる一人として意識しなければと考えていることは唯一つ 「いかにランナーの立場にたって考えることができるか」 大会名誉会長(誰だ?)から私のような一ボランティアまでその精神を発揮できるかどう.か...それこそがこの大会を成功に導く鍵だと考えます。

状況は刻一刻と変わります。その時点で走っている人達に最善なことはなにか? それによってはマニュアルどおりではないことが正解のこともあります。もちろん、ランナーだけでなく応援の方々や関係者の方々、近隣の方々への配慮は言うまでもありませんが、「主役はランナー」という当たり前のことが青梅や世界の都市マラソンでは長い歴史のなかで自然と徹底されているからこそあれだけ盛り上がり、毎年続いているのだと思います。

■例の給水ポイントで、若いボランティアがブレザーの役員に「水を確保するほうが先決じゃないですか!」と食ってかかっていた姿に救われた思いがして、「次の給水ポイントまでがんばろう」とまた走り出したことも申し添えておきます。

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■このブログにはめずらしく辛口の話になりました。このエピソードは今まで公言したことはありません。夢のマラソンが近づいて、Jognoteなどで参加者の皆さんの期待がヒシヒシと伝わり、その舞台の裏方としてお手伝いするボランティアの自戒の念として思わずアップしてしまいました。

参加者の皆さんそれぞれのベスト・パフォーマンスをお祈りしています。

参加者・運営者・応援、地元の皆さん一体となって、新しい東京マラソンの歴史を作っていけるといいですね。

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コメント

おっしゃること、ごもっともです。

「マラソン」は立派な「文化」だと思います。

投稿: moai | 2007年2月15日 (木) 21時56分

運良く走ることのできる私は、
色んな感謝の気持ちを抱きながら、
歴史の第一歩を駆け抜けられたらと思います。

投稿: HIDE10 | 2007年2月15日 (木) 23時16分

moaiさんへ

「マラソンは文化」...確かにそうですね。
文化は一朝一夕に創られるものではありません。
楽しみ、悩み、苦しみ、喜び、時間をかけて形作っていくもの...その第一歩に関われることは嬉しいことです。

投稿: 野川のカルガモおとーさん | 2007年2月15日 (木) 23時44分

HIDE10さんへ

HIDE10さんのお気持ちのように、それぞれの立場のいろんな感謝の気持ちが集まって、感動を生み出してくれるのだと思います。

「走らせてやってるんだから文句は言うな」「1万円払ってるんだから当然だ」という感情のぶつかり合いからは何も生まれません。

投稿: 野川のカルガモおとーさん | 2007年2月15日 (木) 23時52分

ノリでエントリーして運良く当選してしまいましたが、多くの方々に多大な迷惑をかけながらの開催、考えることも多大となっています。いろいろな方々の想いを背負いながらのスタートとなりそうですが、その想いに応える意味でも遅いながらもゴールをめざいたいと思います。当日は雨の予報、走っている人よりボランティアの方々が大変だと思います。できるかぎり多くの方に「ありがとう」を言いながら、走ります。どうにか無事に終われることを祈っています。カルガモさん風邪などひかないように・・・
よろしくお願いいたします

投稿: miu | 2007年2月17日 (土) 09時47分

miuさん、いよいよですね。調子はいかがですか。

今日、ボランティアの事前打ち合わせに行ってきました。広報支援という名の「なんでも屋」のようです(^-^) 確かに、スタッフは傘を差すわけにはいきませんので、雨だと上着はスタッフウェアを着ているので大丈夫ですが、ズボンは濡れること覚悟でしょう。でも、私たちはそれなりの準備ができますが、初心者ランナーは体温を奪われてたいへんツライ思いをするかもしれません。

帰りにラマソンEXPOにも寄ってきましたが、受付の方で大盛況でしたね。結構安いシューズやウェアもありましたが、ご覧になりました?

大会の参加ランナーがすべて、大会を支える人達や地元の方々のことまで考えが及んでくれるmiuさんのような参加者になったとき、本当にマラソンの文化が東京に定着したと言えるのでしょう。というと重たくなってしまいますが(^-^; 要は自分が納得できる走りをすることが最大の感謝の気持ちの現れだと思います。日比谷で快走をお祈りしてます。

投稿: 野川のカルガモおとーさん | 2007年2月17日 (土) 15時53分

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