大蔵の五尺藤
調布の国領神社の「千年の藤」をご紹介しましたが、やはり地元世田谷の藤をご紹介しなければということで、「大蔵の五尺藤」をご紹介します。
この藤は、ジョギングのメッカ、砧公園のすぐそばなんですが、個人のお宅ということも あり、なかなか知られていません。しかし、世田谷百景に選ばれていることもあり、ご好意で藤の花の季節に一般開放していただいているものです。特別にお宅の方に声をかけなくても良いようですので、見学の際には静かに節度をもって拝見したいものです。
ということで、まさしく個人のお宅に入っていきます。門から風情のある石畳が母屋に続いていて、古くからの大蔵のお宅という感じです。鬱蒼とした庭木の奥に藤の花が見えます。
個人のお宅の庭なので、ものすごく広いというわけではありませんが、藤の木の根っこを見ればその古さは一目瞭然。お手入れも大変かと思います。世田谷百景の標石には詳しい由来などは記されていませんし、ネットで調べてもそれ以上の情報は見当たりません。
しかし、私が見学していたときに、やはり藤の花見物にいらしたご婦人の話によれば、この藤はもともと亀戸天神の藤の木だということです。確かに、図書館で調べてみると世田谷区発行のガイドブックにも、80年以上前に亀戸天神の藤の古木を接木したと書かれています。
亀戸天神といえば江戸時代から藤が有名で、四月下旬から藤祭りが開かれ、多くの参拝客で賑わう有名な神社です。ところが、先の戦災で社殿のみならず藤の木も壊滅的被害を受けてしまいました。その後、神社や氏子の皆さんの献身的努力により、現在の亀戸天神の藤棚が復興したのですが(ここまでは、亀戸天神の公式サイトにも書かれています)、ご婦人の話では、その荒れ果てた藤棚の再興に一役買ったのが、戦災を受けた藤の分身である大蔵の五尺藤。つまり、今の亀戸天神の見事な藤は、いわば大蔵の里帰り藤だというのです。
ご婦人にそのお話の出典をお聞きしたわけでもなく、またお宅の方に確かめたわけでもないので、真偽のほどはさらに調べてみたいと思いますが、そう思うと、以前は亀戸で働いていたことがある身にとっては、なんだか不思議な縁を感じます。藤とはまったく関係ありませんが、その昔のブランド野菜として練馬大根に勝るとも劣らないといわれたのが亀戸大根と大蔵大根。世田谷と亀戸って結構縁が深いのかもしれません。
お庭には、こんな狸もいました。
額に葉っぱをつけて、化ける準備中(^_^)
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コメント
個人のお宅の藤棚が百景に選ばれているなんて!
またまた驚きの情報をありがとうございます。
投稿: moai | 2008年5月 9日 (金) 00時50分
そのお宅のまわり一帯は昔の大蔵はこんなだったんだろうなあと思えるような景色です。藤のお宅の門から入るところなど、思わず「千と千尋の神隠し」を思い出してしまいました。
投稿: 野川のカルガモおとーさん | 2008年5月10日 (土) 09時48分