(野川水道橋番外編)砧下浄水場 見学会
野川水道橋の「水道」は、多摩川の伏流水を水源とする「砧下浄水場」でつくられた水道水を駒沢給水塔を経て、渋谷地区に供給するためのものでした。いつもは立ち入り禁止の「砧下浄水場」が公開されるということをたんぽぽさんのサイトで知り、早速行ってみました。
聞くところによると、砧浄水場は公開見学会を定期的にやっているそうですが、ここ砧下浄水場は今回はじめての公開ということで、野川水道橋にこだわる私にとっては貴重な機会です。多摩川ランされる方には、駒沢大学のグランド近くでサイクリングロードがこんもりと盛り上がっていて、三角の小さな塔が立っているところと言えばお分かりになるでしょう。
あの塔の先の多摩川の河原の20mの地中から伏流水を取水して、浄化しているそうです。左の写真が伏流水を汲み上げるポンプ室。中央の写真は、空気を混ぜ合わせることにより酸性度を弱める分水井(この土の小山のなかに小さな滝が作られています)。右がさらに酸性度を弱めるために水酸化カルシウムを注入する設備(酸性だと水道管が錆びてしまうため、水道水は弱アルカリに調整されているそうです)。
前処理をされた水は真新しい建物のなかにある膜ろ過の設備で浄化されます。なんだか「水工場」といった感じですが、ビックリしたのがその無駄のない仕組み。細い管の膜を通してきれいな水が流れ出るわけですが、当然のことながら膜の「目」が詰まります。すると自動的に空気の振動で目詰まりを取るそうですが、すると異物を大量に含んだ汚水が出ます。するとその汚水さえも回収して特別な流水回路で浄化を行っているそうです。そういう工夫により、取水した水の99.9%を水道水として供給しているということを聞いて、水を無駄にしてはいけないと感じました。
しかし、普段はそのままでも飲めるくらいにきれいな水源ですが、大雨が降ったあとなどは濁りがでるそうです。それをそのままろ過膜に通してはすぐ目詰まりしてしまいますので、この大きな沈殿池で上澄みを取って、塩田のような広い緩速ろ過池を利用して浄化することもあるそうです。この方式で最大の浄水場が玉川上水沿いの境浄水場。広い敷地のなかにはこのような大きな池がたくさんあります。
そして最後に検査です。この小屋のなかにいろいろな精密測定機器がならんでいます。その中でも、最も注目される検査機器が「金魚」 見えにくいですが、中央に金魚の入った水槽が見えると思います。この水槽には浄化された水が流れ込んでおり、もし万が一のことがあって金魚が苦しんで暴れだすと、センサーが自動的に警報を鳴らすというハイテク機器(^-^;
検査が終わった水はいよいよポンプで圧力をかけられ、野川水道橋を渡り(今は野川の川底を横切っています)、岡本の丘をくぐり抜け、用賀、桜新町の水道道の下を通り、駒沢給水塔で一休みしたあとに渋谷をはじめとする各地に送られていきます。
水道に関する施設をみて、いつも思うのですが、どの建物も意匠が凝らされ趣のあるものばかりです。砧下浄水場もどこを撮っても絵になります。
今回の見学会では、思いもかけず情報を提供してくれたたんぽぽさんともお会いすることができ、思わずミニオフ会。嬉しかったです。見学会の終わりには砧下浄水場でできた水の試飲(水道の水は各地の浄水場の水がブレンドされていますので、単一の浄水場の水を飲める機会は貴重)、おまけに見学記念に緊急用の携帯ポリバケツや「世界に誇る東京水」、花の鉢植えを頂き、充実した土曜の午前でした。
(美味しくて、写真撮る前にゴクゴク飲んじゃいました(^-^; )
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コメント
私もお会いできてうれしかったです。
見学会の後、野川水道橋を通った時に広報板を見たら
「見学会のお知らせ」は、ほとんど風に飛ばされて見られる常態ではありませんでした。私がこのお知らせを発見した時にきちんと読める状態で助かりました。もし風で飛ばされていたら見学会に行いけませんでしたから。(汗)
この機会をのがせば、こんどいつ見学出来るかわかりませんものね。
いただいた鉢植えの土が浄水場発生の土のリサイクルされたものだというのは、浄水所らしいお土産でしたね。
投稿: たんぽぽ | 2008年6月 8日 (日) 21時02分
これからもよろしくお願いします。
ところで、あのお花はそういうこだわりがあったんですか。
こりゃ、枯らさないようにしなくちゃ(^-^)
家に赤いベゴニアがあるので、もらった白いベゴニアとともに紅白にして楽しみます。
投稿: 野川のカルガモおとーさん | 2008年6月 8日 (日) 22時46分
こんにちは。ご無沙汰です。
見学会、私も行って来ました。
新旧の施設が混在していて、期せずして水道の歴史博物館みたいになっている、面白い場所でしたね。
特に駒沢給水塔と対応するデザインの建物を間近に見ることができ、ちょっと興奮してしまいました。
それから、私の聞いた回の説明では、緩速濾過は昨年(だったかな)以降使われなくなったと言っていました。
メンテナンスに手間がかかるのが理由だそうです。
投稿: 庵魚堂 | 2008年6月16日 (月) 12時39分
庵魚堂さん、お久しぶりです。
実は、今日のお昼に庵魚堂さんのブログを久々に拝見していて、砧下に行っていらしたんだとびっくりしたところに、この書き込みで二重のビックリです。
私は朝一番の説明会だったので、駒Qの会員の方々がたくさんいらしていました。私の聞いた説明では、普段は緩速ろ過は使わないが、洪水などで取水した水がにごったときには膜ろ過が使えないで利用していると聞きました。とはいえ、写真撮りながらふらふらとしていたので、聞き漏らしちゃったかもしれません(^-^;
投稿: 野川のカルガモおとーさん | 2008年6月17日 (火) 01時00分