成城みつ池神明の森に足を踏み入れました
今日7月19日(土)に普段は入れない特別保護区の「成城みつ池神明の森」の夏の一般公開に行ってきました。ボランティアの方々が月に3回整備に入る他は人の出入りは禁止されているだけに貴重な自然が残されている一角です。
いつもは柵の外から遠くのホタルに目を凝らしているだけですが、今日は中の管理歩道を歩いて見学してきました。実際に入ってみて、改めて驚きました。森の深さもそうですが、ボランティアの方々の手入れの成果で貴重な里山の自然が残されているのが実感されました。そのまま放って置くのが自然保護という思い込みがあり
ますが、里山の自然については人の手が入ってこそ保たれる自然であり、昔は薪や牧畜に森の恵みを適切に利用していたからこその生態系なのです。したがって、そのような利用が期待できない現代では、間伐や下草刈りなど季節季節にたいへんな労力をかけて里山を維持する努力をしなければ、ホタルが舞い、ニリンソウが咲く自然は維持できないのです。
今回は、単に自然観察だけでなく、そんな努力の一片でも体験しようということで、コナラの森(といっても数十年先の話で、今は細い苗木ですが)の草刈りもお手伝いしてきました。
成城の台地上の管理事務所で国分寺崖線とみつ池の説明をお聞きしたあとに、いよいよ保護区の見学。案内のボランティアや参加者のなかにはバードウォッチングや植物学の専門家の方がいらっしゃって非常に興味多い話をお聞きすることができました。
みつ池の保護区は大きく東側のみつ池地区を西側の神明の森地区とに分かれています。東側にはみつ池の名前の由来となった池とその源である湧水点のある大きな沢に水神宮が祀られています。西側にはサカスゲ池という湧水池とコナラやイヌシデなど里山の森があります。
<東側:みつ池地区>
<西側:神明の森地区>
何箇所かに枯葉を積み上げた「虫の宿」がつくられています。枯葉の中にはカブトムシやクワガタの幼虫、様々な種類のマイマイなどが暮らしています。1mm程度の虫ですが、大変な貴重な種類の昆虫も生息しているということでみつ池の自然の豊かさに改めて感服。
また、湧水から流れ出る清水が流れる小川には、清流にしか見られないカワゲラ、サワガニ、さらにはちょっと人里の川に住むカワニナやそれをエサにするゲンジボタル、そして汚れた川に住むユスリカからアメリカザリガニまで「玉石混交」の生態系が形作られています。そんなところが23区内世田谷の里山らしい。
なにしろ35度を越える猛暑でしたが、森の沢沿いは数度低いことが実感されます。それでも国分寺崖線を上り下りすれば汗びっちょり。ボランティアの方々がみつ池の森で採取した笹や枇杷で用意してくれた「笹茶」や「枇杷茶」が身体に嬉しい。それも、間伐した竹で作ったコップが涼感を誘います(お土産でいただいてきましたが、芋焼酎のロックが旨いこと!飲みすぎちゃいました)。
時期的にオレンジのキスゲのような「キツネノカミソリ」しか花らしい花はありませんでしたが、十分に堪能させてもらいました。春にはニリンソウや里山のランの花の賑わいが素晴しいそうで、ぜひ春の公開には参加させてもらおうと思っています。
事前の準備を含めて、このような貴重な機会を演出していただいたボランティアの方々には感謝の言葉がありません。これからも、貴重な里山の自然を守っていただきたいと願うと同時に、近所に住む身として何かお手伝いできることはないかなとも思っています。素敵な夏の三連休初日でした。
(これ、天然物のワサビです)
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コメント
一般公開の日があったとは!
本来、囲い込まなくても里山は人々の生活と密着していたはずなのに、わたくしたちは愚かなことをしてきましたね。
なにはともあれ、貴重な地元の「里山」。ボランティアのかたがたには頭が下がります。
「春」がまた楽しみですね。
投稿: moai | 2008年7月21日 (月) 08時56分
クヌギやコナラの木を見ると数十年前までは間伐をして薪にしていたことがわかるそうです。今は、ボランティアがきちんと調べた上で間伐をしても、近隣の住民から自然のまま残せと抗議が区役所に出されたこともあったそうです。「秋」の公開についてわかったらアップしますね。
投稿: 野川のカルガモおとーさん | 2008年7月21日 (月) 22時12分
あの森に一度は中に入ってみたいと思ってはいるのですが
なかなか。。。
我が家の近くの神社では、カブトムシやクワガタが
やっと出てきました。
例年よりも2週間ほど遅いような気がします。
丸子川のザリガニは、今年異常なほど少なく
見つけても泥の中にすぐ入って見えなくなります。
もしかするといつもの数いても泥が深くなったのかも
しれません。
投稿: たんぽぽ | 2008年7月24日 (木) 10時51分
たんぽぽさん、みつ池は別世界です。ぜひ年4回の公開に訪れてみてください。虫に詳しいたんぽぽさんなら分かるかと思いますが、森を利用しなくなったおかげで間伐ができず、みつ池のコナラやクヌギは樹齢が高くなり、樹液の分泌が少なくなっているそうです。ということは、それをエサにしている昆虫たちの生態系にも影響があるということ。
里山の自然を残すというのは、ほったらかしにすることではなく、人が適切に手を加え続けることが必要なんですね。
投稿: 野川のカルガモおとーさん | 2008年7月24日 (木) 22時39分
子供の頃は出入り自由だったので(ホントは立入禁止だったかも?)絶好の探検場所でした
昆虫もいっぱいいたし、ザリガニ採りもしてました
投稿: 原住民 | 2021年2月11日 (木) 22時59分