Spirit of Delta
経営苦境にあえぐ日本航空が米デルタ航空との提携交渉に入ったという報道がされました。
あまりのタイミングにびっくり。
実はその報道がされた前日にあるセミナーでデルタ航空のことを話していたのです。
その話の内容は、「Spirit of Delta」
飛行機の名前です。
デルタ航空は航空自由化の波にもまれ、1980年代に潰れかかっていました。ややもすれば、そんなときには経営陣の責任追及やら政府の支援をさも当然のように要求することに終始するところです。
しかし、そのときのデルタ航空の社員がとった行動とは...
従業員でお金を出し合って飛行機を買って、会社にプレゼントしようという途方も無いもの
飛行機っていったって、セスナじゃないですよ。
一機69億円もするボーイング767ですよ。
たった3人の客室乗務員が、自分達でできることから始めようとスタートしたこのプロジェクト、最終的には4万人のデルタ航空社員全体のムーブメントになり、本当に実現したのです。それがその画像です。
一人当たり1000ドル近くを出し合って(実際には給料の自主的減額という手法だったようですが)これだけのことを成し遂げる従業員と会社との一体感とモチベーションがあれば、デルタ再建は約束されたようなものです。「デルタ魂」と名づけられたこの飛行機は新生デルタ航空の象徴として世界の空を飛び回り、デルタ再建に貢献、見事に再建は成功しました。
その後も、いくたびかの危機が訪れ、近年では破産法適用もされましたが、デルタ魂で再建計画を前倒しして健全経営を確保。ノースウェスト航空を合併し、見事に世界最大の航空会社に返り咲いたのです。
そして今、そのデルタ航空と瀕死の日本航空が提携を模索している...
提携が必要なのは、路線や共同運航などのビジネススキームだけではないでしょう。
なにもJALの従業員の給料減らせとか、OBの高すぎる年金を減額しろといっているのではありません。その方法は当事者で真剣に考えるべき問題です。ただ、確実なことは今のままではJALは絶対に潰れるということです。
デルタ魂に負けない「 Spirit of JAL 」をぜひ発揮してもらいたいと思います。
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コメント
ランニングと関係ない話なのでここで失礼します。デルタ航空、かつてはマッキンゼーのトム・ピータースなどによる「エクセレントカンパニー」でも取り上げられた優良企業でしたね。確かに80年代に何度か使ったときはいい会社に思えましたが、その後は経営危機に陥った頃、アメリカ便で乗ると最悪の会社の一つでした。
去年、仕事で久しぶりに使ったら、また昔のように大分改善されていました。でもその陰で、従業員がそれだけ頑張ったとは知りませんでした。世の中、表面だけでは分からないですね。いいお話しを教えてくださってありがとうございました。
投稿: you | 2009年9月12日 (土) 23時03分
youさん、こちらではお久しぶりです(^_^)
私も一度だけ利用したことがあるのですが、そのときはこんなエピソードのあるキャリアだとは知りませんでした。youさんが80年代に使われたときはデルタ魂で急回復をしていたころなのでしょう。その後、経営環境もあるのでしょうが、やはり慢心からか、一度は破産の憂き目にあいましたが、デルタ魂は消えず、ですね。
ところで、Spirit of Delta機は、耐用年数を過ぎ、今はAtlantaにあるDelta Air Heritage Museumに展示されているそうです。
http://www.deltamuseum.org/M_ExhibitsEvents.htm
投稿: 野川のカルガモおとーさん | 2009年9月13日 (日) 08時20分