渋谷「神泉」駅
井の頭線が渋谷駅を出発してすぐに入ったトンネルを出たところにあるのが「神泉」駅。あまりに渋谷から近いので、地元の人以外はなかなか降りことがない駅かもしれません。
「しんせん」と読みますが、神の泉ということで、以前から気になっていたところです。地形的に宇田川の短い支流の沢の奥まったところですので、泉が湧いていて神社でもありそうな地名ですが、今の地図を見ると神社はありそうにない。ところが、ひょんなことから明治の終わりの地図を見る機会があり、なにげに神泉あたりを見てみると...
「弘法湯」の文字が...!
(時代が時代ですので文字の並びは逆ですが)
渋谷に温泉があった!
さくさくと調べてみるとホントにあったようです。
江戸時代から弘法大師にゆかりの伝説がある共同浴場があったそうです。明治時代には渋谷の奥座敷的な三業地として栄え、神泉館という旅館もありました。
温泉ではなく冷泉だったようですが、今の日帰り温泉のハシリのようなところだったのでしょう。それ相応の賑わいであったようです。今はそんな面影はまったくありませんが、ただひとつ伝えるのがトップの写真にも写り込んでいるこの石碑。
「右 神泉湯道」「施主 青山北町二丁目 石屋勝五郎 明治十九年八月廿一日」と彫られています。石屋勝五郎とは今の青山霊園の石屋の老舗で今も東急グループの一員として連綿と続いています。そんな将軍家御用のカリスマ石屋の作だけに120年の年月を感じさせないくらいにしっかりと彫りが残っています。
共同浴場の弘法湯は銭湯として1979年まで残っていたそうです。ということは、私が大学への通学で渋谷を通過していた頃には、まだ残っていたわけで、なんとも惜しいことをしました。
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